相続の準備で知っておきたい「相続時精算課税制度」の利点と注意点暦年贈与の様に細かく贈与することが難しいという方もおられると思います。この場合に活用して頂きたいのが相続時精算課税制度です。相続時精算課税制度は、生前での贈与回数に関係なく特定の親族に対して合計2,500万円までは贈与しても贈与税がかからない特別控除額があるというのが特徴です。2,500万円を超えた金額については一律20%の税率となります。相続時精算課税制度は、将来の相続税負担を軽減する効果を期待するというよりは、今のうちにより多くの財産を渡したい(受け取りたい)場合に向いています。また、纏まった財産を一定の税率で生前贈与することによって、相続発生時までにその財産を活用して財産運用が出来ることも利点といえます。注意点この制度を利用するためには、贈与をする方と贈与を受ける方のそれぞれが年齢制限などの要件を満たし、税務署に一定の書類を提出する必要があります。具体的には、贈与者が贈与した年の1月1日において満60歳以上であること、受贈者が贈与を受けた年の1月1日において満20歳以上であって贈与者の推定相続人である子又は孫であることが要件となります。手続きは、贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍謄本などの一定の書類と共に贈与税申告書に添付して提出することとされています。相続時精算課税制度を選択して土地の贈与を行う場合、相続で取得する場合であれば非課税となる不動産取得税を納める必要があります。通常の相続を行う場合よりもこの部分の負担が大きいことは理解しておいて下さい。相続時精算課税制度は一度選択すると撤回できません。相続時まで継続して、この制度は「相続時精算課税選択届出書」を提出した贈与を受ける方に適用されることになります。また、相続時精算課税制度の適用を受けると、110万円までの基礎控除を利用した暦年贈与を行うことができません。最も重要なことは、この制度を利用して贈与された財産は相続発生時に『課税財産』に含めて計算されることです。名前の通り相続時に精算し課税する制度ですので、いわば課税を後回しにしていることになります。将来値上がりする可能性の高い財産を相続時精算課税制度で贈与することによって、値上がり分に対しての課税を避けることは可能です。仮に贈与された財産の価値が減少したとしても課税範囲は変わりませんので、むしろ負担が大きくなる危険性もあるということは理解しておいて下さい。2018.04.11 06:07
住宅関係でも相続税を節税する方法相続税を節税するために前もって贈与を行いたいとお考えの方もおられるかと思います。対象や条件もありますが、暦年贈与の基礎控除以外でも贈与において節税ができる特例は少なからず存在しています。今回は住宅の取得・贈与・新改築に利用することで節税ができる贈与の方法について、注意点とともにお伝えします。配偶者への贈与結婚して20年以上になる配偶者に対して、住宅又は住宅取得のための資金の贈与があった場合には最高2,000万円まで控除できます。この制度を利用して不動産の持分を事前に贈与しておくことで、相続時の財産を減らすことができます。注意点この贈与が適用される要件は以下の通りです。夫婦の婚姻期間が20年以上であること。贈与の目的が住宅又は住宅の取得のためであるということ。贈与を受けた方がその翌年3月15日までに、贈与により取得した不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。同一の配偶者間では、一生に一度しか適用を受けることができないので注意が必要です。直系卑属への新築や増改築のための資金の贈与直系卑属へ住宅の取得又は新築や増改築を行なうための資金を贈与する場合、贈与の期間や住宅の種類にもよりますが、一定の要件を満たすことで700~1,200万円を非課税とすることができます。注意点この制度の適用要件は以下の通りです。平成33年12月31日までに行われた贈与であること。贈与を受けた人が、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上、かつ、所得が2,000万円以下であること。居住物件の床面積が50~240平方メートルで、床面積の半分以上を居住用とすること。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、又は、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。受贈者の配偶者、親族などの一定の特別な関係がある方から住宅用の家屋を取得したものでないこと、又は、これらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。この非課税の制度は、贈与税の申告期限内に贈与税の申告書及び添付書類などを提出した場合に限りその適用を受けることができます。2018.04.09 06:07
相続の分割で知っておきたいこと、例外の対処法相続の分割に関しての原則は他の記事でお伝えしてきましたが、例外も多く存在しています。今回は、その例外の一部をお伝えします。配偶者が既にいない場合被相続人が亡くなられた時点で配偶者が既におられない場合もあります。その時は第一順位である被相続人の子供で均等に分割します。子供の定義は過去にお伝えした『配偶者がいる場合』と同じです。子供の中で亡くなっている方がいる場合は、被相続人の孫(子供の子供)に均等に分割することになっています。第一順位の子供がいない場合は、『配偶者がいる場合』と同様に第二順位・第三順位と移行していきます。過去にお伝えした『配偶者がいる場合』との違いは、配偶者と第○順位との比率がなく、全て第○順位の側に遺産がまわるということです。相続以前に贈与があった場合遺言がなければ相続人の遺産分割や順位は法律で一定に定められていますが、相続人の中には生前に高額の贈与を受けていたり、遺言で贈与を受けた方もおられるかもしれません。このような場合は、不公平が生じることを避けるために贈与分を組み戻して相続分の計算に入れるのが一般的です。物品に関しては、紛失・変形・消失のいずれにもかかわらず、相続手続きを行う時点での相場で計算します。腹違いの兄弟姉妹が相続する場合第三順位において起こることですが、被相続人の両親のいずれかに愛人がいて、その間に子供が存在していることも考えられます。つまりは腹違いの兄弟姉妹ということですが、この場合に第三順位の1人として相続の対象者となります。ただし、分配率は同じ親の兄弟姉妹の半分になります。受遺者が存在する場合受遺者とは、遺言書によって相続財産を与えられた人のことです。相続人と同一の権利義務を有するということが民法で規定されていて、法定相続人でなくても相続の対象者になることがあります。子供の誰かに相続分の指定がある場合「代々続く事業を継続してもらうために長男には多めに相続してもらいたい」という要望から相続分の指定を希望される方もおられます。この場合は、遺留分を侵害しない程度であれば指定が認められ、民法で規定されているのとは別の比率で相続を行うことも可能です。遺留分遺産を相続する際には、法定相続人が法定相続分に従って遺産を受け継ぐのが基本です。しかし、遺言や贈与があって受遺者などが指定されている場合には、法定相続人であっても十分な遺産を受け取れなくなることがあります。この時に相続人に認められる最低限の権利として遺留分があります。対象者は、第一順位の被相続人の子供と第二順位の被相続人の父母です。「遺言は遺留分に関する規定に違反することができない」と民法で定められていますので、最低限の遺留分だけは受け取ることができます。ただし、遺留分を請求するには相続人が遺留分の権利を主張する必要があり、相続排除された場合には適用されないということを知っておいて下さい。相続排除特定の相続人に相続をさせたくない場合に、遺留分を含む相続権を剥奪する制度です。対象者は、遺留分が認められている第一順位と第二順位の相続人です。著しい非行や重大な侮辱、虐待や暴力の事実があった場合に申請できますが、家庭裁判所はこの申し立てに対し慎重に審議する傾向にあり実際に相続排除が認められた事例はそれほど多くはありません。おわりに今回は相続分割の例外に関してお伝えしました。分かりにくいように感じられた方もおられると思います。適切に相続分割を行いたい場合は専門家にお任せするのがお勧めです。2018.04.06 06:06
相続の分割でよく起こる事態、相続放棄とは?相続において相続人は、被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務を全て受け継ぐ、被相続人の権利や義務を一切受け継がない、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐという3通りの選択ができます。この一切受け継がないという2つ目の方法を相続放棄と呼びます。借金や莫大なローンといった負債が残っている、あるいは貰っても処分に費用がかかると考えられる物品が多いなど相続することの方が負担が大きいと感じられる場合は、相続放棄の選択をすることによってこのリスクから逃れることができます。今回は、相続放棄についてお伝えします。相続放棄の手続き方法と必要になるもの相続放棄の申述に必要な書類は以下の通りです。相続放棄の申述書被相続人の住民票除票又は戸籍附票申述人の戸籍謄本被相続人の死亡記載のある戸籍謄本申述人が被相続人の孫の場合は被代襲者(被相続人の子)の死亡記載のある戸籍謄本、申述人が被相続人の親の場合は配偶者又は子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本と祖父母の場合は被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本、申述人が兄弟姉妹又は甥や姪の場合は配偶者又は子の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本と被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本と兄弟姉妹の死亡記載のある戸籍謄本がさらに必要になります。提出先は、被相続人の最終的な住所となっている地域の家庭裁判所で手渡し又は郵送で提出します。手続きで発生する費用としては、戸籍謄本の450円、収入印紙800円程度、切手代といったものです。家庭裁判所に申し立てを行って、家庭裁判所から受理通知書が届けば手続きは終了となります。相続放棄に関して注意しておきたいこと相続放棄は、基本的に相続開始後3か月以内に行う必要がありますが、亡くなられた方の財産や債務の存在を暫く知らなかったということも考えられます。このような相当の理由がある場合には、相続開始後から3か月以上経過していても相続放棄が認められます。また、相続開始前に相続放棄の手続きはできません。上記の申述と家庭裁判所の受理の審判によってのみ効力が発生すると定められているからです。最も重要なこととして、相続放棄は相続という関係を離脱したとみなされますので、代襲相続の場合なども含めて関わることができなくなります。2018.04.04 06:06
相続の準備、もしもの時に慌てないために知っておきたい手続きの流れ相続の手続きをどのように進めるべきかご存知の方は少ないかと思います。大切な方を亡くされてご心痛の時に初めて方法を調べ、冷静に手続きを進められるのは大変なことでしょうから、相続の準備として相続手続きの流れを一通りお伝えします。相続の手続きの流れと注意点被相続人が亡くなられた時点で相続は始まります。まず、被相続人の取引先金融機関へ連絡を行い口座を凍結します。年金の手続き、公共料金などの名義人や支払方法の変更も速やかに行いましょう。次に、通夜及び葬儀を行った後に遺言書の存在を確認します。遺言とは、自分の死後にその効力を発生させる目的で予め書き残しておく意思表示のことで、この内に後見人の指定・相続人の選択・財産の分割といった点は法的な効力を生じます。そのため遺言が存在しているかの確認は重要な課程と言えます。遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言という3種類があり、公正証書遺言は発見者が開封しても問題ないですが、自筆証書遺言及び秘密証書遺言については開封時に家庭裁判所の検認が必要となりますので注意が必要です。遺言の有効性については、相続排除・受贈者・遺留分といったものに絡んでいる内容であるかも確認しておくべきです。一定の相続方法の選択は、相続の開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。四十九日法要あたりを目途に、遺言などから遺産の内容を確認し相続人の調査と相続財産の確認、原則的な相続方法(単純承認)以外の相続放棄・限定承認といった相続方法の選択をする場合は、この期間内に裁判所に申し立てをします。相続人の調査は、被相続人が生まれた時から亡くなるまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍を取り寄せて調べることになります。続いて所得税の準確定申告を行います。申告手続きは相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月が期限となります。相続人が複数人いる場合には、各相続人が連署により準確定申告書を提出しなければなりません。他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出するという方法も可能ではありますが、申告書を提出した相続人は他の相続人に申告した内容を通知することが義務付けられています。この申告書は、亡くなられた方の住所地にある税務署に提出します。その後、遺産の分割を協議して遺産分割協議書を作成し、相続財産の名義変更を行います。尚、この遺産分割協議及び協議書の作成は期限が定められていませんが、後の相続税計算上、未分割(遺産分割協議が整っていない)の状態では一定の税制上の恩典(相続税が節税できる)が適用できないため相続税の申告書提出期限前に確定することをお勧めします。最後に相続税の申告及び納税を行います。おわりに相続方法の選択や準確定申告に期限があることを中ほどで記載していますが、相続税の申告と納税も相続開始から10か月以内で終わらせる必要があります。親族同士で揉め事が起こってしまいますと、遺産分割までに時間を要することになりますので前もって手順を理解し、いざという時に落ち着いて行えるようにして下さい。2018.04.02 06:05
相続に関することはどの専門家に相談すべき?相続に関する手続きは分かりにくいことも多く、誰に相談すれば良いのか迷われる方もおられると思います。主な相談先は、税理士・司法書士・弁護士です。今回はそれぞれの特徴をお伝えします。税理士税理士は名前の通り税金の専門家で、税務申告に関する代理権を唯一持っています。計算や申告手続きを正確に行い、かつ、節税の対策に関してのアドバイスも受けられることもあります。なるべく節税したい、申告作成を代行してもらいたいといった場合には、税理士に相談及び依頼することをお勧めします。司法書士司法書士は、登記・供託の代理、裁判所や法務局などへの書類の作成及び提出などを行います。不動産の所有者が移転したときには、所有権移転登記を行う必要があり司法書士に代行してもらうことが可能です。最近では司法書士の業務の範囲が拡大されて簡易裁判所での代理権を持つことになり、遺言書の検認や相続放棄などの一部の手続きにおける書類の作成が出来るようになりました。登記をしたい・抵当権の抹消をしたいといった場合には、司法書士に相談及び依頼することをお勧めします。弁護士弁護士は、全ての裁判所における代理権を持っており、当事者の代理人として交渉することも可能です。法的な観点からさまざまな問題の解決にあたっていますので、トラブルを予測して未然に防ぐための助言を行ってもらえます。他の相続人と遺産分割の合意ができない場合、遺産の中に借金があるといった法律に絡む内容の場合には、弁護士に相談及び依頼することをお勧めします。決算書の作成に必要なものとその流れ事業を行っていくにあたり必要なこととして決算書の作成があります。今回は、この決算書についてお伝えします。決算書とは決算書とは、企業や個人などの財産と損益を報告することを目的に作成される報告書で、財務諸表とも呼ばれています。決算書の種類3種類の制度会計である会社法、金融商品取引法、税法によって異なる決算書が存在しています。会社法会社法に関する決算書は、対象となる法人に作成が義務付けられている計算書類です。最も一般的な決算書で、主な提出先である株主や債権者に対して経営成績や財政状態を把握してもらうために作成します。大規模な企業である場合は公認会計士(会計監査人)の監査も必要となります。金融商品取引法金融商品取引法に関する決算書は、対象となるのは一部の企業に限られ、株主を保護するために作成が義務付けられています。公認会計士の外部監査を受け内閣総理大臣宛に提出する必要があります。税法税法に関する決算書は、税務申告に必要な確定申告書です。法人だけではなく個人事業主も対象で本社又は本店の所在する所轄税務署に提出する必要があります。決算書の作成に必要なもの日々の経理に関する資料が集約されていて、あらゆる取引内容がわかる帳簿が決算書を作成する際に必要になります。一定期間の保存が義務付けられており、税務調査でも確認される項目ですので帳簿は大切に保管して下さい。会計帳簿の分類記帳を行う会計帳簿は主要簿と補助簿に分けられます。主要簿には仕訳帳・総勘定元帳があり、これらを基にして会社の財政状態を示した貸借対照表、経営成績を示した損益計算書を作成します。一方、補助簿には現金の入出金を記録する現金出納帳、預金の入出金を記録する預金出納帳、販売したものの未回収である金額を記録する売掛帳、購入したものの未払いである金額を記録する買掛帳などがあります。決算書作成の流れ金銭などの取引内容を仕訳帳に記帳します。仕訳帳とは日付順に全ての取引を記載した帳簿のことです。仕訳帳から勘定科目ごとに総勘定元帳に整理して転記します。総勘定元帳の各勘定科目残高を試算表という一覧表に転記します。そして決算処理を行い、決算書である貸借対照表と損益計算書を作成します。決算書の期限株主総会の開催は事業年度終了後3か月以内に行うことが会社法によって定められています。それまでに決算書を作成し、監査役会及び取締役会で承認が行われている必要がありますので余裕をもって決算書を作成することが大切です。2018.03.30 06:05
相続の分割方法・配偶者の優先度・親族の順位は?相続においてどのように分割を行うのか気にされている方も多いかと思います。今回は、民法に定める相続人の範囲(相続を行う時の順位と、配偶者がいる場合の相続対象者)と法定相続分(遺産の取り分)をお伝えします。配偶者がいない場合やその他の場合は別記事でお伝えします。まず、被相続人の配偶者がご存命の場合には、必ず相続の対象者になります。ここでの配偶者とは、婚姻届を提出して正式に婚姻関係になっていることが条件であり、内縁の場合は含まれません。第一順位相続の第一順位は、被相続人の子供です。配偶者と子供の分配率は1:1となります。子供が複数人いる場合には、その子供達の中で均等に分配します。子供の中で既にお亡くなりになっている方がいる場合は、代襲相続と言い被相続人の孫(子供の子供)へ分配することになります。さらに孫もお亡くなりになっている場合は、同様に下の代へとおろしていきます。子供の配偶者には相続権はありません。子供の定義子供とは、養子縁組で迎えた子供や養子に出した子供、既に結婚に伴い嫁いだ子供も含んで考えます。DNA鑑定などにより親子関係を証明することが必要ですが、被相続人に内縁の子供がいる場合にはその子供も1人して数えます。配偶者の連れ子は被相続人との関係はありませんので含まれません。被相続人とその妻の間に胎児がいて、後に無事に産まれた場合には子供の1人とみなします。別の記事でお伝えしていますが、相続放棄した子供は、相続する子供からは除くことになります。第二順位被相続人の子供、あるいはその下の代である孫や曾孫・玄孫などのいずれもがご存命でない場合やいない場合には、直系尊属である被相続人の父母です。配偶者と被相続人の父母の分配率は2:1となります。被相続人の父母で既にお亡くなりになっている場合は、被相続人の祖父母(父母の父母)が代襲相続します。縁組をされている方が被相続人である場合には、被相続人の父母には実の両親と縁組先の両親の両方が含まれます。第三順位被相続人の子供、父母もご存命でない場合やいない場合には、被相続人の兄弟姉妹です。配偶者と被相続人の兄弟姉妹の分配率は3:1となります。被相続人の兄弟姉妹で既にお亡くなりになっている場合は、その子供が代襲相続します。2018.03.28 06:05
相続税の節税マニュアル *遺産の残し方*出来る限り遺産を家族に渡したい。今回はそんな方のために「相続税を節税する方法」をお伝えします。基礎控除額を利用した生前贈与贈与税は、受贈者1人あたり年間110万円までの贈与については税金が発生しません。毎年110万円ずつ贈与していけば税金は発生しませんので節税となります。相続時精算課税制度を利用相続時精算課税制度とは、生前に2,500万円まで贈与をしても贈与税が発生しないという制度で、多額の財産を贈与税無しで渡すことも可能となります。しかし、相続時精算課税制度を1度適用すると撤回(取消し)は出来ませんので特に注意が必要です。相続時には、この制度を適用して贈与した金額分を上乗せして相続することになるので、イメージとしては相続の前渡しとなります。生命保険を利用相続税の計算において、生命保険金には一定の控除額があるため死亡保険金をかけておくというのも節税対策となります。保険料を支払い、亡くなられた時の保険金がそのまま相続人に渡されることとなります。相続人を増やす相続税の基礎控除額の計算方法は以下の通りとなっています。基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)つまり、法定相続人の数が多ければ多いほど控除される金額は大きくなるということになります。但し、法定相続人の数を増やして、相続後に配偶者・実の子供に財産を集め様としても贈与となってしまいますので贈与税が発生することに注意が必要です。また、法定相続人の数にも制限があり、被相続人に実の子がいる場合の養子縁組は1人まで、被相続人に実の子がいない場合の養子縁組は2人までとなっています。結局どうしたら節税できるのか分からない場合ご自身でお調べになられても、結局どの様にすれば相続税の節税が出来るのかよく分からない場合には、相続税に精通した税理士に相談するのをお勧めします。おわりに税金の話は難しいことが多く、どの様にすれば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。全てご自身で理解しようとすると大変な労力と時間が掛かるかと思いますので、実績があり、かつ、信頼できる税理士に相談することをお勧めします。2018.02.19 05:09
相続の準備の始め方そろそろ相続の準備をしようとお考えの皆様。はじめに相続税がどの様に計算されているのか、どの様な人が相続税を支払わなければならないのかをご存知ですか?今回は相続税の計算方法などをお伝えします。相続税の納税対象者と基礎控除額平成27年に相続税法が改正され、納税対象者が増加平成27年1月1日に相続税法が改正され、今迄相続税を支払う義務のなかった方も納税対象者になり得ることとなりました。納税対象者かどうかを判別するには、被相続人がお持ちの財産や相続人の数によって決まります。相続税の計算方法相続税は4段階に分けて計算します。1 課税価額の計算課税価額=相続財産評価額+みなし相続財産+相続開始前3年以内の贈与財産+相続時精算課税制度適用分△債務・葬式費用相続財産評価額……不動産の評価額、現金、株式などみなし相続財産……死亡保険金、死亡退職金など相続時精算課税制度適用分……相続時精算課税制度を適用した場合に発生2 相続税の課税対象金額を計算相続税課税対象金額=課税価額(①)△基礎控除額相続税法には、基礎控除額という相続税を支払わなくても良い範囲があることを知っておく必要があり、誰でも簡単に計算することができます。基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)【平成30年1月現在の法令】3 相続税の総額を計算相続税の総額=相続税の課税対象額(②)×各法定相続人の法定相続分に応じた相続税率各法定相続人の法定相続分に応じた相続税率は、各相続人ごとの取得金額によって税率が異なります。~1,000万円以下税率10%控除額なし1,000万円超~3,000万円以下税率15%控除額50万円3,000万円超~5,000万円以下税率20%控除額200万円5,000万円超~1億円以下税率30%控除額700万円1億円超~2億円以下税率40%控除額1,700万円2億円超~3億円以下税率45%控除額2,700万円3億円超~6億円以下税率50%控除額4,200万円6億円超~税率55%控除額7,200万円4 各相続人の実際の相続税を計算各人の実際の相続税=相続税の総額(③)×各相続人が実際に取得した財産の割合相続税は複雑相続税の計算は複雑です。相続時精算課税制度などの様々な制度もあり、解しにくいものかもしれません。また、法律も頻繁に改正されるので、年に1度は確認しておいた方が良いかもしれません。相続税について相談されたい方は、相続税に精通した税理士がお勧めです。豊富な知識も持っておりますので悩みを解決してくれます。おわりに相続税の課税対象者と相続税の計算方法についてお伝えしました。相続において一番重要な点ですが、一番複雑で難しい点でもあります。税理士に相談したり綿密に調べたりして、相続の準備を慎重に進めていって下さい。2018.02.18 05:08
遺産相続でトラブルにならないための準備相続においてよくトラブルが起こっているというイメージをお持ちではないですか?テレビで遺産相続のトラブルがよく取り扱われていますが、この様なトラブルは未然に防ぐことが可能です。今回はトラブル別に有効な解決策をお伝えします。トラブルの有効な解決策相続財産の内容が曖昧相続人は、被相続人がお持ちの財産がどの程度あるのか曖昧ですので、どこかに財産が残っているのではと疑うことがあります。相続財産は被相続人しか知りませんので、財産が曖昧なことで生じるトラブルによる解決策は1つしかありません。この様な事態にならないために、被相続人が事前に財産目録を作成し財産の内容を明らかにしておくことが重要となってきます。遺言の内容が偏っている遺産の全てを第三者に渡す、遺産の分割が偏っているなど不公平な内容の場合にトラブルが発生します。通常貰えるはずの遺産をもらえなかった人と、遺産を多く貰っている人とが口論となり収拾がつかなくなります。法定相続人に認められる最低限の相続分を意識して、分割するとトラブルに繋がりにくくなります。不動産は分割しにくい不動産を相続人に分割する場合、価値が分かりにくく使用目的も限られてくるため揉める可能性もあります。分割の方法としては以下の4つがあります。土地を売却せず、土地そのものを分ける土地を売却し、金銭に換えて分ける不動産を相続した人が、他の相続人に金銭を支払う相続人の全員で共有するトラブルの解決策としてはこれら4つの方法を理解した上で相続人全員で話し合うことです。遺言書に全てを記載するのも解決策にはなりますが、細かいところまで全て記載すると相続人は押し付けられているように感じ不満が出る場合もありますので気を配る必要があります。相続人が多すぎる法定相続人は基本的に、配偶者・被相続人の両親・被相続人の兄弟姉妹・実の子ですが、それに加えて養子・非摘出子・隠し子がいた場合にはトラブルになる可能性があります。法定相続人は、養子・非摘出子・隠し子が相続することに対して不満を持つ可能性がありますので、事前に対策を練る必要があります。対策としては、生前に話し合うこと、節税になるからといって不用意に養子を増やさないことが挙げられます。おわりに相続にはトラブルが付きものです。トラブルが多いと理解された上でどの様に対策するのかが重要となり、相続を受けるご家族のことを考えて生前に何が出来るのかを考えるのが良いかと思います。生前のコミュニケーションによって殆どの問題は解決出来るので、一度ご家族と相続のお話をされてみては如何ですか。2018.02.17 05:08
遺産分割をした後に遺言書が出てきた時の対処法遺産の分割をした後に遺言書が見つかった。意外にもこのケースが多いのが現実です。遺産分割を終えた後に見つかった遺言書にも強い効力がありますので、分割し終えた遺産を再分割しなければならなくなる事例もあります。今回は分割後に遺言書が見つかった場合の対処法をお伝えします。本当にその遺言書は有効なのか内容に不備がある場合自筆証書遺言は自宅で作成できる一般的な遺言書ですが、不備があると効力を失います。遺言書には、「遺言者の氏名」、「作成した年月日」、「押印されている」ことが必要不可欠です。どれか1つでも欠けている場合は無効となります。また、遺言者が全て自筆で書いてあることも条件の1つで、一部分を他の人が書いていたり、自筆でない場合には無効となります。遺言者に遺言書を書く能力がないと判断された場合これは、遺言者が認知症である場合や手に不自由あり、明らかに本人には作成できないと判断される場合に起こりえます。また、第三者によって強制的に遺言を書かされたということが判明すれば遺言は無効となります。他の誰かが加筆修正している場合遺言者以外の人が加筆修正した場合は、その遺言書は無効となります。また、加筆修正をした人に罰金が科されたり、相続権が剥奪されたりします。遺言者本人が修正している場合は、その修正方法が正しければ有効ですが、間違っていれば修正した箇所のみ無効となります。遺産を再分割しなくて良いケースこれは、相続人の全員が同意をして遺産分割を行っており、全員が遺言書の内容を見ても再分割する必要がないと意思表明した場合です。相続人の間で合意が取れていれば、遺言書の内容を汲み取るだけで、やり直しをする必要はありません。遺産を再分割するケース相続人のうち1人でもやり直したい人がいる場合相続は基本的には遺言書の内容に従って行います。1人でもやり直したい人がいる場合には、遺言書の内容に基づいて再分割し直さなければなりません。遺言書に相続人以外の名前があった場合例えば、隠し子が見つかる場合、相続人ではない別の親しい人にも遺産分割する場合などがあります。この場合は、その人も含めた相続人の間で再分割する必要があります。相続人の廃除がある場合法定相続人で、一般的には遺産相続を受ける立場にある人でも、被相続人の意思で相続を受けることができなくなることがあります。これを廃除といい遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求し、家庭裁判所で実際に非行等があったと認定された後に相続権を失うこととなります。この場合には、廃除となった人を除いて、遺産の再分割をしなければなりません。おわりに遺産分割が行われた後に遺言書が見つかるケースは少なくありません。その遺言書が有効であるかを確かめ、遺産の再分割をする必要があるのかどうかを相続人の間で話し合う必要があります。2018.02.16 05:06
相続税節税のための法人化とは *デメリットも*相続した財産を出来る限り手元に残しておきたいと考えている方、相続税として支払う金額が多いと感じている方もおられると思います。そこで、近年相続税対策の有効な手段として言われているのが「法人化」です。今回は法人化についての概要とデメリットについてお伝えします。なぜ法人化すれば節税となるのか相続税が発生するのは、被相続人が亡くなられて遺産が相続人に受け継がれる時です。法人を設立して、不動産や株式などの資産を個人のものではなく法人のものとして所有しておけば、その資産は相続する必要はありません。従って、その資産には相続税が発生しないことになります。法人設立の手順法人を設立するのは難しいことではありません。行うべき手続きとしては必要書類を提出するだけであり、早ければ2週間程度で設立することが可能となります。また、被相続人が株式を所有してしまうと、その法人の株式が相続の対象となり節税が出来なくなりますので、被相続人は株式を所有しないようにする必要があります。そして、不動産を法人に譲渡し相続の対象から外す必要もあります。法人化のデメリット法人化することによるメリットは節税が出来ることですが、デメリットとしては何があるのかご存知ですか?法人税が発生する法人化すると毎年法人税を計算し納付する義務が発生します。法人税は所得金額に課せられる税金ですが、赤字であったとしても一部税金が発生します。経営権のトラブル資産を管理するために設立された法人では、株式の譲渡が頻繁に行なわれる傾向にあります。株式の譲渡が頻繁に行なわれると、経営権が分散し運営方針での対立、経営に無関心な株主も出てくることでトラブルに発展することも考えられます。会計処理などの事務作業をしなければならない法人である限りは、会計処理などの事務作業が発生します。決算書類の作成は高度な知識が必要となるので、相続人の中に詳しい人がいない場合には外部に委託する必要が出てきます。事務作業が増えるだけでなく、外部委託先にも支払いが発生することを知っておく必要があります。おわりに法人化することは相続税対策にはなりますが、法人税や会計処理などで支払いが発生し手間が増えるといったデメリットもあります。相続人の間に法人化に詳しい人がおられないのであれば、予め経験豊富な税理士に相談するのをお勧めします。2018.02.15 05:05