相続税の節税において生前贈与は効果的な方法か?
節税に生前贈与が良いとお聞きしたことはありませんか?
果たして実際はどうなのでしょうか。
今回は生前贈与の注意点についてお伝えします。
生前贈与の注意点
生前贈与が認められない場合がある
生前贈与をしたのに、税務署が生前贈与と認めない場合があります。
その理由は、殆どの生前贈与の目的が節税ということが明らかであるということにあります。
税務署としては、実体に応じた納税を行ってほしいという願いがありますので、確実に生前贈与を行ったという証拠がない限り認められません。
もしこの様なことになれば、生前贈与を行っていないことと同じになるので意味がありません。
税務署に納得してもらうには、生前贈与を行ったことを証明する書面(契約書など)を作成し、実際に贈与を実行することが重要となります。
また、基礎控除額(年間110万円)を超える場合は贈与税の申告及び納付をして、その書類を保管しておくのが良いかと思います。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、その言葉の通りに贈与時における負担を少なく(限度額である2,500万円までは贈与税が発生しない)して、相続時に改めてその贈与財産を贈与時の価額で他の相続財産と合算して相続税を課税し、それまでの贈与を精算するという制度です。
相続財産でこれから価値が上がると見込まれる不動産・有価証券等を保有されている場合や、早期に財産を承継させたい場合に有効です。
ただし、この制度は一度選択すると撤回(取消し)することが出来ず、その人からの贈与額が2,500万円を超えた場合には、その超えた部分に対して一律20%の贈与税が発生します。【平成30年1月現在の法令】
今後の税制改正で不利になる可能性があること、小規模宅地等の特例との併用不可能などのデメリットもありますので特に注意が必要です。
直系尊属(祖父母等)から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
教育資金については扶養義務者がその都度教育費を負担する場合以外は贈与税がかかりますが、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度を利用することで孫等1人につき1,500万円まで金銭等を渡した際の贈与税が非課税となります。
相続前に次世代以降へ財産を移転できるので相続税の節税にはなりますが、もちろんデメリットもあります。
それは、教育資金の一括贈与を受けた人が30歳になるまで又は贈与を受けた金銭等を使い切るまで教育資金に使った領収書等を毎年提出する必要があり、教育資金を教育目的として使い切らなければ最終的に贈与税がかかるということです。
基礎控除額を有効活用するには定期給付と思われないように注意
受贈者1人につき年間110万円以内の贈与であれば贈与税は発生しません。
しかし、定期的な給付をみなされてしまうと贈与税が発生します。
定期的な給付とみなされない様に工夫をし、長期的に110万円以下の贈与をするのは容易ではありません。
節税なら税理士に相談しましょう
節税なら相続税に精通している専門家に聞くと分からないことが解決できます。
生前贈与だけでなく、他の選択肢や経験に基づく有効なアドバイスももらえますので、一度税理士に相談するのも良いかもしれません。
おわりに
節税のために生前贈与を行う場合は注意点が多く、結果的には節税が出来ずに贈与税や相続税を支払わなければならなくなることもあります。
メリットとデメリットを比較して、有効な節税方法を選択するのが良いと思います。
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